LONG LIFE STORY返品の行き先

返品された服はどこへ——オンライン購入と返品のその後

試着できない通販では、返品が起きやすくなります。戻ってきた服は、もう一度売り場に並ぶとは限りません。欧州の調査をもとに、返品のその後をたどります。

/ FURUGI LOOP 編集部 / 廃棄の現実

オンラインで服を買うとき、「サイズが合わなければ返品すればいい」と考えることは珍しくありません。返品無料をうたうお店も多く、複数のサイズを注文して合うものだけを残す買い方も広がっています。けれども、返品された服がその後どうなっているのかは、買う側からはほとんど見えません。今回は、確認できた調査をもとに、返品された服の行き先を整理します。

通販の服は、およそ5着に1着が返品されている

欧州環境機関(EEA)が2024年3月に公表したブリーフィングでは、オンラインで売られた服のうち約5着に1着が返品されていると紹介されています。また、オンラインで買った商品の返品率は、実店舗で買った場合の最大で約3倍になるとされています。

試着ができない、画面で見た色と実物の色が違って見える、サイズ表記がブランドごとに異なる。通販ならではのこうした事情が、返品の多さにつながっていると考えられます。

返品された服の約3分の1は廃棄されているという推計

同じEEAのブリーフィングでは、オンラインで購入され返品された服のうち、約22〜43%、平均するとおよそ3分の1が廃棄(破棄)されていると推計されています。一度も着られていない服であっても、そのまま次の人に届くとは限らないということです。

イスラエルのベン=グリオン大学の研究者による調査も報じられています。欧州で返品された約63万点の衣類のデータを分析したところ、約44%が二人目の買い手に届かなかったとされています。その内訳は、半分がリサイクル、4分の1が埋め立て、7分の1が焼却だったと伝えられています。

「返品できる」ことと、「次の人に届く」ことは、同じではないのかもしれません。

なぜ、戻ってきた服を売り直さないのか

理由のひとつとして挙げられているのが、返品を処理する手間とお金です。返品された服は、検品し、汚れやほつれを確かめ、たたみ直し、包装し直してから在庫に戻されます。EEAのブリーフィングでは、オンラインの返品1件を処理するのに、商品の小売価格の約55〜75%ほどの費用がかかると紹介されています。

さらに、戻ってくるまでのあいだに季節が変わると、値下げしないと売れなくなることもあります。とくに流行の移り変わりが早い服ほど、その影響を受けやすいとされています。売り直すより処分したほうが安く済む、という判断が生まれやすいのは、こうした事情があるためのようです。

こうした状況を受けて、EUでは売れ残った衣類や靴の廃棄を禁じるルールづくりが進められています(売れ残りを捨てない法律の記事で紹介しています)。行き場のない服をどう扱うかは、つくる側にとっても大きな課題になりつつあります。

返品を減らすために、買う側ができること

返品そのものが悪いわけではありません。合わない服を手元に置いたままにするより、返したほうがよい場面もあります。ただ、少しの工夫で返品しなくて済む買い方に近づくことはできそうです。

たとえば、手持ちの服でいちばん体に合う一着の着丈や身幅を測っておき、商品ページの実寸と見比べる方法があります。「念のため2サイズ注文する」前に、サイズ表やレビューを確かめておくのもひとつです。古着の通販では、多くのお店が実寸を細かく載せているので、測った数字と比べやすいかもしれません。

それでも合わなかった服は、返品するか、手元に残してお直しをするか、着てくれる人に譲るかを選ぶことになります。新しく服を買うことが悪いのではなく、届いた一着が着られる服として生き続けるかどうか。返品のその先に少しだけ目を向けると、服の選び方も変わってくるのかもしれません。

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