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染め直し——色あせた服をもう一度染める

襟や肩だけ日に焼けた服、洗うたびに色が抜けたシャツ。生地はまだしっかりしているのに、色のせいで着なくなった服は少なくありません。そうした服を、色だけ新しくして着続ける方法があります。

/ FURUGI LOOP 編集部 / 直す・めぐらせる

服を手放す理由は、穴やほつれだけではありません。肩のあたりだけ日に焼けた、何度も洗って色がくすんだ、薄い色の服に落ちないシミがついた。生地そのものはまだ十分に使えるのに、色のせいで着なくなる服は意外と多いようです。この連載ではダーニングやジーンズのリペアなど、形を直す方法を取り上げてきました。今回は、色を直す「染め直し」の話です。

染め直しで変えられること、変えられないこと

染め直しは、色あせた服に上から染料を重ねて色を取り戻す方法です。ただし、絵の具で塗りつぶすようにはいきません。家庭用染料「みやこ染」を販売する桂屋ファイングッズのQ&Aでは、同じ系統でより濃い色にする場合はそのまま染められる一方、違う色にしたい場合や濃い色を薄くしたい場合は、先に色を抜いてから染めるよう案内されています。

色は重ねるほど濃くなるので、紺のシャツを紺やより濃い色に戻すのは得意ですが、紺を黄色にするのは難しい、ということです。迷ったときは元の色と同じ系統か、それより濃い色を選ぶと仕上がりを想像しやすくなります。

綿は染まりやすく、ポリエステルは染まりにくい

もうひとつの分かれ目は素材です。同社の製品ページでは、綿・麻・レーヨン・絹・毛・ナイロンなどが染まる繊維として挙げられ、ポリエステル・アクリル・アセテートや防水加工された生地は染まりにくい繊維とされています。染める前に洗濯表示タグで素材を確かめておくことが大切です。

見落としやすいのが縫い糸です。生地が綿100%でも、縫い糸がポリエステルであれば、綿用の染料では糸だけ元の色のまま残ります。同社のQ&Aでも、ポリエステルの縫い糸は植物繊維・動物繊維用の染料では染まらないと説明され、糸の部分をポリエステル用の染料で別に染める方法が紹介されています。撥水加工など水をはじく加工がある服も、染まらないか染まりが悪くなるそうです。

ムラについても注意書きがあります。染め液に浸したまま動かさないとムラになりやすいため、ときどき混ぜながら染めるのが基本です。ムラが出てしまった場合は、同系色の濃い色で上から重ね染めをする方法が挙げられています。

色が抜けた服は、まだ「中身」が残っている服でもあります。

黒に染め直す専門の工房

家で染めるのが難しい場合は、専門の工房に頼む方法もあります。京都で100年以上、黒紋付の染めを続けてきた京都紋付は、その技術を洋服に応用した黒染めのリウェア事業「K」を手がけています。着物の染め直しを頼むお客さんから「洋服にも対応してほしい」という声が多かったことが出発点だったと、ファッション専門メディアの取材で紹介されています。

高島屋が案内する同社の黒染めサービスでは、衣類を送ってから染め替えが終わるまで約1カ月ほどかかるとされています。掲載されている仕上がり例では、本体は綿100%、縫い糸はポリエステルという服が多く、糸やボタンの色は元のまま残ることも前提になっています。黒く染めた後にもう一度加工をして黒さを深める「深黒(しんくろ)加工」という独自の技術も紹介されています。

企業の取り組みとしては、無印良品も2010年から店頭で着なくなった服の回収を始め、2015年からは回収した服の一部を藍色や黒に染めなおして販売していると説明しています。染め直しは、個人の工夫であると同時に、服をもう一度売り場に戻すための方法にもなっています。

色を変えて、もう一度袖を通す

新しい服を買うことが悪いわけではありません。ただ、生地も形も気に入っている一着が色だけを理由に手放されるのであれば、染め直すことで、そのぶん新しく作られる負荷を使わずに済みます。環境省は、日本で手放される服の多くが焼却や埋め立てにまわっていると推計しています。

染め直した服は、元の色とまったく同じにはならないかもしれません。縫い糸だけ白く残ったステッチや、少し深くなった色合いは、その服が一度色を失い、もう一度染められたことを伝える跡になります。直し跡と同じように、それもその一着だけの履歴として楽しめるのではないでしょうか。

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