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毛玉と虫食い——ウールのセーターを長持ちさせる手入れ

毛玉ができた、袖に穴が空いた。ウールのセーターを手放す理由になりやすいこの2つは、摩擦と汚れという原因がわかれば、日々の手入れとしまい方でかなり防げるとされています。

/ FURUGI LOOP 編集部 / 直す・めぐらせる

冬になって久しぶりに出したセーターに、小さな毛玉が並んでいたり、袖に覚えのない穴が空いていたりすることがあります。ウールの服が手放されるきっかけとして多いのが、この毛玉と虫食いのようです。どちらも生地そのものが寿命を迎えたわけではなく、手入れと保管でかなり防げるとされています。この連載ではダーニングやかけはぎなど穴を直す方法を紹介してきましたが、今回はその手前、穴や毛玉をつくらないための手入れの話です。

毛玉はどこにできるのか

国際的なウールの業界団体であるザ・ウールマーク・カンパニーは、毛玉(ピリング)を、ウールの服の表面にできる毛羽の玉と説明し、その原因を着ているあいだの摩擦としています。できやすい場所として挙げられているのは、ひじ、わきの下、袖、おなかまわり、セーターの脇です。腕を振るたびにこすれる場所、机に向かって長く座っているときに触れ続ける場所に集まる、ということです。

同団体は、よく動く着方や、ざらついた面に長く触れる使い方ほど毛玉ができやすいとしたうえで、毛玉がまったくできないことは誰にも保証できないとも書いています。毛玉は品質の悪さだけを意味するものではなく、着た時間の跡でもあると考えると、付き合い方も少し変わってくるかもしれません。

毛玉取りは「こまめに、やさしく」

取り方について、ウールマークは数が少なければ手で取り除けるとし、乾かした後やアイロンの前に習慣として行うことを勧めています。くしを使う方法もありますが、その場合はごく軽く、慎重に扱うよう注意しています。範囲が広い場合は、電池式の毛玉取り器が手頃で効果が高いとされています。

予防としては、洗う前に服を裏返すこと、柔軟剤を使わないこと、着用中の摩擦をできるだけ減らすことが挙げられています。業界紙の繊研新聞が紹介したニットブランドのオーナーの話でも、脱いだときはそのままでもよいので、着る前に粘着クリーナーでほこりを取り、汚れをためないことが大切だと語られています。重いバッグを肩にかける人に毛玉が多いという観察もあり、ショルダーバッグのかけ方を変えるだけでも違いが出るようです。

毛玉は着た時間の跡、虫食いは置いた時間の跡です。

虫食いの正体はイガ・コイガとカツオブシムシ

もうひとつの敵が虫食いです。新宿区の資料によると、イガやコイガという小さな蛾の幼虫は動物性の繊維を食べ、毛織物や毛糸、羽毛に穴をあけます。コイガは食べた布の上に繊維と糞をつづったトンネル状の通り道をつくり、イガの幼虫は筒状の巣を背負って歩くのが特徴とされています。同じ資料では、毛織物の被害はイガやコイガよりも、ヒメマルカツオブシムシという甲虫によるもののほうが多いとも書かれています。

防虫剤メーカーのエステーの担当者は、家電メディアの取材で、食べこぼしや皮脂などの汚れが衣類害虫の栄養源になると説明しています。汚れていれば化学繊維でも食べられることがあるそうです。しまう前に一度洗う「しまい洗い」が勧められるのはこのためです。

防虫剤の使い方と、しまい方

新宿区の資料では、ウール製品や毛糸は防虫剤を入れて密閉した袋などに収納するのが最もよい方法とされ、たんすの中で蛾を何匹も見つけた場合は衣類を調べ、できれば日に干すよう勧めています。

エステーの担当者によると、防虫剤は収納の底ではなく、たたんだ衣類の上に置くのが基本です。詰め込みすぎると防虫成分が行き渡らないことがあるため、収納には余裕を持たせ、量は製品の目安を守ります。また、無臭のピレスロイド系はどの薬剤とも併用できる一方、においのあるパラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのう同士は併用できないとされています。去年の防虫剤が残っているときは、種類を確かめてから足すと安心です。

古着屋で見つけたウールのセーターも、こうした手入れを続ければ、さらに何年か着られる可能性があります。新しい服を買うことが悪いわけではありませんが、すでにある一着を長く着れば、そのぶん新しく作られる負荷を使わずに済みます。穴が空いてしまったときは、ダーニングで直すという選択肢も残っています。

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