店頭回収のその後——回収ボックスに入れた服の行き先
回収ボックスに入れた服は、そこで終わりではありません。仕分けを経て、着る人のもとへ、素材へ、燃料へと分かれていきます。その流れと、見えにくい部分を整理します。
衣料品店のレジ横や入口に、古着の回収ボックスが置かれているのを見かけることが増えました。着なくなった服を入れると、クーポンがもらえるお店もあります。手軽で、捨てるより気持ちが軽い。けれど、ボックスに入れたあとの服がどうなるのかは、あまり知られていないようです。今回は、各社が公表している情報をもとに、回収された服の行き先をたどってみます。
2006年に始まった「全商品リサイクル」
日本で店頭回収が広く知られるきっかけのひとつが、ユニクロの取り組みです。ユニクロは2006年9月から、自社で販売した全商品を対象に回収を始め、「全商品リサイクル活動」と呼びました。2007年にはタイとネパールの難民キャンプに計13万着の衣服を届け、難民への衣料寄贈が始まったとされています。
この活動は2020年9月に「RE.UNIQLO」として新しく位置づけられました。同社の発信によると、2024年8月までの累計で81の国と地域に約5,897万点が寄付されています。
18種類に分けられる服
回収された服は、まとめてどこかへ送られるわけではありません。ユニクロの説明では、まずメンズ・ウィメンズ・キッズの3つに分け、一点ずつ状態を確認します。そのうえで、届け先の文化や宗教に配慮が必要なもの、たとえばノースリーブや迷彩柄、武器が描かれたプリントなどを除き、最終的に18種類に選別するそうです。仕分けた服は約100着ずつ圧縮して「ベール」と呼ばれる梱包にまとめられます。
服として届けるのが難しいものは、断熱材や防音材、石炭の代わりになる燃料などの資源としてリサイクルされると説明されています。
リウエア、リユース、リサイクル、エネルギー
H&Mは2013年から世界規模で古着回収を行っています。回収した衣類は提携先に送られ、状態に応じて4つに分けられるとされています。そのまま着られるものは古着として再販売される「リウエア」、着られないものを清掃用品などに作り変える「リユース」、繊維や自動車の断熱材などに使う「リサイクル」、そしてどれにも向かないものを燃料として使う「エネルギー」です。
日本では2022年春に、提携先が欧州を拠点とする企業から大阪の古着リサイクル企業に変わりました。国内企業と組むことで、輸送などにともなう環境負荷を下げるねらいがあると報じられています。当時の報道では、日本国内での回収量は2013年からの累計で約6,733トンとされています。
追跡調査が示した、見えにくい部分
一方で、回収された服がすべて想定どおりに使われているかについては、疑問も示されています。欧州の財団Changing Marketsは、2022年8月から2023年7月にかけて、イギリスやフランスなどの店舗の回収ボックスに、小型の追跡タグを仕込んだ服21点を入れて行き先を調べました。その結果、約4分の3が処分されたり、倉庫に留め置かれたり、アフリカへ輸出されたりしていたと報告しています。
この調査は対象が21点と少なく、業界団体からは反論も出ています。そのため、結果をそのまま全体に当てはめることはできません。ただ、回収された後の流れが外からは見えにくいという点を、あらためて考えるきっかけになりました。
ボックスに入れる前にできること
店頭回収は、服をごみとして手放すよりも、次の使い道につながる可能性を広げる仕組みです。そのうえで、利用する側にもできることがあるようです。たとえば、まだ着られる服は洗ってから出す、各社が公表している回収対象や行き先の情報を一度読んでみる、といったことです。
そしてもうひとつは、回収ボックスを「たくさん買うための免罪符」にしないことかもしれません。服の寿命をいちばん長くするのは、やはり手元で長く着ることです。手放すときに行き先を知っておくことは、次に服を選ぶときの目線も少し変えてくれるのではないでしょうか。
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