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Gジャン——デニムジャケットが定番になるまで

古着屋のデニムの棚には、数十年前につくられた上着が今も並んでいます。作業着として生まれたGジャンは、少しずつ形を変えながら定番になっていきました。

/ FURUGI LOOP 編集部 / 長生きした服の物語

丈が短く、胸にポケットがあり、前をボタンで留める色落ちしたデニムの上着。日本でGジャンと呼ばれるこの服は、もとはジーンズと同じ生地でつくられた作業用の上着でした。辞書では「ジーンズジャンパー」の略とされており、英語では通常ジーンジャケット(jean jacket)と呼ばれます。

はじまりは3本のプリーツ

リーバイス社の資料によると、同社が最初のリベット付きデニムジャケットをつくったのは1870年代とされています。「トリプルプリーツ・ブラウス」と呼ばれるその上着は、箱のような短い形で、裾の近くにリベット留めのポケットが2つあり、前に3本のプリーツが入っていました。プリーツの縫い目をほどくと身幅をゆるめられたとも紹介されています。

ここでの「ブラウス」は作業用の上着を指します。この時点から、リベットで補強するという考え方はズボンと共通していました。リーバイス501の上着版として歩み始めた服だと言えそうです。

ファースト、セカンド、サード——Gジャンの3つの型

現在のGジャンの基本になっているのが、古着の世界でファースト、セカンド、サードと呼ばれる3つの型です。英語ではType I、II、IIIと呼ばれています。

ファースト(Lot 506)は1905年から1953年まで販売されたとされる型です。胸ポケットは1つで、箱型の身頃にプリーツが2本入り、背中にはサイズを調整するシンチバックがついていました。

セカンド(Lot 507)は1953年に登場しました。胸ポケットが2つになり、背中のシンチは裾の左右のアジャスターに替わります。短く箱のような形は、ファーストから受け継がれました。

サード(Lot 557)は、リーバイス社の資料では1961年10月のカタログに初めて登場したとされています(1962年とする資料もあります)。プリーツとリベットがなくなり、あらかじめ縮ませたデニムが使われ、前身頃には裾に向かうV字の切り替えが入りました。細身で少し長めの形は、それまでの2つの型とはかなり印象が異なります。1967年にはLot 70505へと品番が変わりました。

同じころ、ほかのメーカーも独自の形を育てていました。リーの101J(ライダースジャケット)は年代に諸説ありますが、馬に乗るときの動きやすさを考えた細身の形で知られています。ラングラーは1948年に、同社初のデニムジャケットとされる11MJを発売したと紹介されています。

品番の札が取れたあとも、形が名前の代わりをしてくれました。

「トラッカージャケット」という名前は、あとから生まれた

興味深いのは、よく知られた呼び名の多くが、つくられた当時のものではない点です。リーバイス社によると、Type IやTrucker(トラッカー)は現代の用語で、同社自身がヴィンテージラインを始めてから使うようになった言葉だそうです。Truckerという名前は1990年代後半に定着し、日本のヴィンテージ衣料のコレクターが考案したとされています。

ファースト、セカンドという呼び方についても、日本の古着輸入業者が分類のために付けたものだという説明があります。古着についた品番の紙ラベルが取れていて、番号では整理できなかったためとされています。服が古着として次の持ち主を探すなかで、名前まで新しく付けられたことになります。

戦時中の一着が示したこと

ファーストの時代には、第二次世界大戦の影響も残っています。物資の節約のために胸ポケットのフラップが省かれ、金属を節約したドーナツボタンが使われました。「S506XXE」と呼ばれる戦時期の個体には、大きなサイズで背中を2枚の布から縫い合わせた「スプリットバック」が見られることもあります。

未使用に近い状態のこのモデルが5,500万円で購入され、2026年4月にギネス世界記録の「最も高額な中古デニムジャケット」(記念品を除く)に認定されました。例外的な一着ではありますが、節約のための仕様が約80年後に年代の手がかりとして読まれていることは、古着らしい話のように思います。

Gジャンが長く着られてきた理由

Gジャンが残ってきた理由は、ひとつではないようです。厚いデニムと丈夫な縫製が長い着用に耐えること。シャツの上にも、薄いコートの下にも合わせやすい短い丈であること。そしてサードの基本の形が、品番を変えながら今もつくられ続けていることです。古い一着を着ても、今の服の中で浮きにくいのはこのためかもしれません。

古着のGジャンを手に取ったら、まず胸ポケットの数と背中を見てみてください。赤タブの文字やボタンの形からも、おおよその年代を探ることができます(詳しくは年代判別ガイドへ)。襟や肘に残る色の抜け方は、前の持ち主がその上着と過ごした時間の記録です。その続きを着ることで、服の時間はもう少し先まで延びていきます。

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